中華料理屋の扇風機がずっと「強」でとても辛かった

今日の昼飯で入った中華料理店において、頭上に設置された高いところ用扇風機の風量が終始「強」であった。当たり前のように風がとても強かった。

首振りモードの扇風機が自分のエリアを向くたびにとてつもない風量を浴びせられ、何か異様なムードの中自分の料理を待ったランチタイム。もう一度言うが、風がとても強いのである。

テーブルに座るのは1人客が多かったが、皆同様に物凄い風量を交替で浴びせられ、ある者は乱れた髪を整えたり、ある者は手に取った新聞紙を持っていかれそうになる。何で「強」なんだと皆思っていたが、黙って強風を浴びながらじっと料理を待っていた。

自分のところに強風が来て、去っていくと別のオッサンが強風を浴びて迷惑そうに黙って浴び続ける。皆が強風に甘んじているその異様な光景にはさすがに段々笑えてきたが、誰一人風量を中、ないしは弱にしようとする者はいない。

ある者が席を立ち上がり、扇風機のほうに向かっていったが、彼が変えたのはテレビのチャンネル。その勇気があれば扇風機も頼むよと皆思っていたかもしれないが、そんなことは考えてはならない。俺たちは扇風機の「強」の風をただ浴び続けるんだ。そんなムードであった。

 

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思えば扇風機の風量を「強」にするケースはさほど多くはない。外から帰ってきてから衝動的に、まるで自分の不快度数を表現するかごとく「強ジャイ!」とやることはあっても、日常生活においてリビングに置かれた扇風機がずっと「強」であり続ける事はそう多くはないはずだ。

そもそもだが、世の中に流通する扇風機の「強」の強いことと言ったらシャレになったものではなく、大体なんでこんなに乱暴なほどに強いんだと思いたくなる扇風機が多い。テメエら強いにもほどがあるというものである。

弱、中、強ではなく風量レベルが1~6の気の利いた小刻みな扇風機もあるのだが、それでも「6」にしたときの暴力発生装置然とした攻撃性は「6!」という感じで大層やってくれちゃってるレベルで見過ごされるものではなく、「親の敵のように」という表現が適切なレベルでみだりに風を浴びせてくることが専らである。

 

改めて扇風機の「強」の必要以上の強さ、あれをどの場面で使うんだという疑問に目を向けるきっかけになったのだが、結局台湾ラーメンとマーボー飯のセットが到着してもなお強風は俺たちを襲い続け、お互い知らない皆、共通して理不尽にして意味不明な扇風機由来の強風を浴びながらランチをほうばり、そしてまた辛い向かい風の待つ社会へ旅立っていった・・・南無