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映画の感想:キングコング(2005年公開)

あれは中学の国語の授業中だったと思う。

好きな動物は。と聞かれて「とり」と答えた俺に先生は「ふざけるな」と言った。「鳥にも色々あるだろうが。」というのが理由らしい。

俺は焼き鳥が好きだから言ったまでで、全然ふざけたつもりはない。どうせ怒られるなら「特にタレが好きです」などと言えば良かった。恐らくあの当時から屁理屈ばかり言っていたので教師も俺に対して身構えていたのかもしれない。

 

これに似たようなやり取りは他にもあった。

一番好きな食べ物なに?と聞かれたので「じゃがいも」と答えたら、「食材じゃなくてさ。」だと。そんな、食い物の定義なんて人それぞれだ。最初から料理と言わなかったほうが悪い!俺はじゃがいもの使われている料理で嫌いな料理が無く、よって好きな食べ物はじゃがいもということにしている。

季節や気分、シチュエーション、ロケーションなど様々な要因が関わってくるので、料理として順位を付けようなど無理な話。常に変化するに決まっている。まして一番の料理だなんて。

だけども、色んな料理にちょこちょこ顔を出している、ある特定の食材となれば先の様々な要因の影響を受け辛く、それよりは幾分か判断が簡単になるのではないか。
俺が色んな料理を思い出してみてまっさきに思いつくのはじゃがいも。カレー、肉じゃが、ポテトサラダ、コロッケ、、あちゃ~、素敵な食べものばかりだ。

じゃがいもは美味しい。本当に美味しい。

 

話は変わるが、2005年にリメイクされた新しいキングコングが公開されたのを覚えているだろうか。

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俺は何故かこの映画をわざわざ映画館まで観にいっているのだが、その理由は全く覚えておらず、覚えていることと言ったらナオミ・ワッツ主演で、ジャック・ブラックがようやくメジャーと言える作品に出た映画だったということぐらい。

内容はジャングルハプニングをCGで大げさにしたような何とも言えないものだった。

最近の映画に多いのだが、この映画もCGの多さが気になりうまく物語に入り込めない。「よくつくってるなあ」という気分が中々抜けないのだ。

そんな映画ではあるが物語も佳境、キングコングの住む危険な島に船で漂着した主人公一行だが、そこに待っていたのはキングコングを古くから畏れ崇める野蛮な民族の急襲。

仲間を失いつつも何とか島から脱出することに成功した一行であったが、彼らにはさらなる危機が。そう、SUNRISE日本でお馴染みの、台風ジェネレーションこと嵐の5人である。

ああ、何のことだか分からなくなるところだった。つまり、そうARASHIがやってきて海は大しけ、乗り込んだ船は木の葉のようにフーラフラ、押寄せる大波、落ちる船員、重ねる密会、深まる愛!さらに良くないことに付近は突出した岩場がワンサカ。そのくせ釣れるのはヒイラギとかボラみたいな餌取りばかりだとさ!

スクリーンではそんな最低なシチュエーションが延々映し出されており、定説通りに話が進むのであれば船が沈没するのが時間の問題だろうことは明らかだった。

一方の俺、「そんな、おまえ、背景が青いところで、クロマキーかなんか使っておサムくやってんだろ!」と斜に構え、スクリーンで繰り広げられるパニック現象を歯牙にもかけずぼ~んやり。

手持ち無沙汰でついつい口に運んでいればペットボトルのお茶もいつの間にかスッカラカン、お茶は夜更け過ぎに尿意へと変わり、それはもうタマらnightでありました。

そんな尿意も手伝ってか、これがこの映画における一つの見せ場であるとするならば、俺はこの先何を期待してこの映画に臨めば良いのやら、はて帰ろうかしらと、そういう考えが盛り上がってきたときのことだった。

相変わらず船は激しく揺れ続け、人は蟻のよう。今にも沈没しそうな船を何とか軽くしようと必死に船内の家具や荷物を海に捨てる船員達。

「だからおまえ、背景が青いところでだな・・」

鼻くそをホジホジしながらそう言おうとした次の瞬間、スクリーンにはそれまでの全てをひっくり返すような、まさに映画史に残る名台詞が舞い降りたのであった。

それは荷物を海に投げ捨てる船員に対し、船長の口から発せられた力強い一言。


ーまて、じゃがいもは捨てるな!ー


その字幕を観たとき俺は閉じかけたまぶたを「クワッ」と開いた。

《船長・・・・!おまえ!》

分かってんじゃねえかという気持ちで感情移入すると、それから先はハラハラドキドキの連続。こんな大ピンチのときにでも大好きなじゃがいもの心配をするこのスキモノ船長がもう他人のようには思えなかったのだ。死ぬな船長、捨てるなじゃがいも!

数多ある食材の中でジャガイモをチョイスするその選球眼はさすがアメリカ、メジャー級だよ。いやあ、もうあの台詞出たときは興奮し過ぎて俺は思わず千の風になりそうだった。

あんなに気持ちの入らない映画だったのに、気付けば最後までしっかり観ていた。これもじゃがいものお陰。

このようにじゃがいもは大変素晴らしい食べ物なのだ。¥あれ、誰も納得していない。

ともあれ!じゃがいもファンならばこの映画史に残る名台詞:「じゃがいもは捨てるな」を聞くためだけに「キングコング」をレンタルしても損は無いはず。
じゃがいもファンでない人がこれを期にその尊さを知るも良し、とにかく素晴らしい映画なので観てもらいたい。