缶コーヒーをおごってもらった話

昔の会社の話だが、上司から小銭入れを渡され「これで缶コーヒー買ってきてくれ。」と言われた俺は、買いにいこうとした背中で「もちろん、お前の分もな。」と言う上司の声を聞いて「はい」と返事をしながらダッシュで自動販売機に向かった。

しかし自販機の前で開いた上司の小銭入れの中には5円玉とか10円玉ばかり、カウントすると残念ながら100円にも満たず、マジかよと思いつつも自分の財布を出し、俺の金で上司と俺の分、二本の缶コーヒーを買い走って戻った。

「いただきます」

俺の金で買った缶コーヒーを上司に渡し、俺の金で買った別に飲みたくもなかった缶コーヒーをヘエコラヘエコラとありがたそうに飲んだ。

それを見て上司、満足そうに「フフ、おう、いいぜ」などとのたもうて、俺がおごってやった缶コーヒーをいつものように特に味わうでもなく無表情でズズズと吸うように飲んでいた。

俺も今度後輩にやってやろうと思う。