カズヤ少年に便所に呼び出された時のこと

小学生のときにカズヤというものすごく体の発育の良い男がいた。今思うと発育が良いというレベルではなかった彼、小学5年生の時点で体は出来上がり、50mを走ればぶっちぎり、ハンドボールを投げれば県新記録、男性教師に腕相撲で勝つ程の腕力によって繰り出されるあらゆる球技におけるダントツの破壊力はまさにスターを取ったマリオ状態。無敵なのであった。

その小学生離れした筋肉により彼は当然の様に小学生生活を通じて常に学年のボスであり続け、頭の方はさほど良くなかったが、そのガタイとパワーだけで何ぴとも彼に意見する事は出来なかったのである。

運動神経だけではない。小学六年生の時点で彼の身長は165cm、ガタイは「いい体してるね」と言われる成人男性並み。なにより顔の見た目が完全にオッサンであった。小学校高学年の時点で完成されてしまった彼の成人ルックスをもってすれば、普通の小学生などその見た目だけで「すいませんでした」とひれ伏してしまうレベルである。

小学五年生のときに俺はそんなカズヤ少年と初めて同じクラスになった。

クラスには学年でも上位に入るほどの運動神経を持ち合わせた男子生徒がたくさんいたはずだが、誰しもがカズヤの手下に成り下がっていた。小学生男子にとって優劣をつけるものは運動神経。それでいくと発育で20年先をいく発育トップランナーのカズヤ相手に意見できるものなど誰が居ると言うのか。

ある日の休み時間、俺を含む彼の手下とされていた7、8人の男子生徒が突然「便所にこい」とカズヤに呼び出された事がある。そのメッセージを伝えにきた男子生徒は困惑した表情で「よくわからないが、カズヤはかなり怒っている」と言う。

彼は既に便所で先に待っているらしく、早めに行かないとまずそうな雰囲気であった。ならば急いで行こうと7,8人が連れ立ってぞろぞろと便所に向かえば、そこには便所の奥で窓の外を見ながら立つカズヤの姿。到着すると振り返り、事前情報通り不機嫌な顔で睨んできた。

やって来たメンバーの顔を確認すると一言だけ口を開くカズヤ。

「ちょっとここ、入れ」

そういうと彼は親指で大便所を指しながらついて来いといわんばかりに入って行く。俺達は自体が飲み込めずなんだなんだという感じでそれを眺めつつ、言われたとおりにそれに続く。狭い個室便所である、全員入ることはできないのでまずは3人がカズヤに続いて大便所に入り、俺を含む残り数名は便所のそとで待つことに。

程なくして先に入った3人が出て来る。彼らは無言で、そしてカズヤは出てこない。便所から出てきた3人が非常に冴えない顔であったのがとても気になったのだが、暴行の類を受けた形跡はない。ただしとにかく妙な、歯切れの悪いひっかかる表情をしていたのが印象的であった。

今度は俺たちが彼の待つ大便所に入る番である。中に入るとカズヤは狭い大便所の中で壁にもたれかかりキレた顔をして待っていた。やはり何か怒っている。俺達が何かしたのだろうか。尋問を受け、その答え如何では何か痛い目にでも遭うのだろうか。先のグループは上手く回避したってことなのだろうか。例えこっちの数が多かろうと彼には歯向かえない。カズヤと我々の間にはあの当時それほどの体格差、ルックスの差があったのである。

不安そうな顔をした俺達に対してもなおブチギレた表情を崩さないカズヤ、しばしの沈黙があったように思うが、突然何の合図も説明もなしに突如バッとズボン、更にパンツまでを下げておもむろに我々の前にチンポをさらけ出したのである。

「エッ、なんでや...!」

驚く間もなく、なんと出てきたそのチンポたるや、まあ呆れた、そこには見事に生えそろったチン毛がびっしり。兵馬俑かと思いました。そしてまたそのチンポのとても小5のものとは思えない様よ。ミスターチルドレンとは言ったものである。

何の説明も無しにいきなり大人の股間、御開帳。いきなり突きつけられた現在の状況を飲み込めずに戸惑う小学5年生たち。「なぜ見せたのか」「どう反応したら」「いつまで見たらいいのか」、中学生になれば5W1Hを習ってここで質問のひとつでも出来たことでしょうが、哀れ人生経験の少ない小学生はただ黙って無言のまま目の前のカズヤのチンポを見ることしか出来ないのである。

そんな唖然とする我々を目の前にしてもなおカズくんときたら律儀にチンポを見せたままで謎のキレ顔を継続するのである。チンポとカズヤ、両方から睨まれ身動きが取れない。眼光からは確かな「怒り」が感じられた。

「なぜ、なぜあなたは怒っているの...?」

呼びつけておいて、頼みもしない陰茎を露出させておいてなぜ怒るのか。そしてカズヤは、カズヤ少年はとことんまでブチギレた顔で突然こんなことを我々に言い放ったのである。

 

「見たこと、人に言ったら殺す」