突然後輩になるオッサン現象

本日は「突然後輩になるオッサン」現象という概念についてお話したい。

最初にこの現象に気付いたのは学生のとき。アルバイトをしていたカラオケ屋の店長(47)が、突然我々に敬語を使い始める時間帯があることに気付いたのが発端である。それは妙な体育会系のノリで「~ッス」という具合。サン付けまでしてくれるという徹底ぶりで、普段は推定能力の500%ぐらい余計に偉そうにしていただけに甚だ奇妙であった。

「いいッスよ、俺がやるッス、俺がやるッス」

このように言葉だけでなく、積極的な態度まで完全に後輩になるのである。顔はいたってマジであることからおふざけではなさそうである。俺が何かしたようにも思えず、心当たりが全くない。

この店長後輩化現象、他のバイト仲間に話したら「確かにそういう時間帯がある」という証言が得られた。スズキ君というイケメンは「試しにすき放題こき使ったら言うことを聞いた」とかなり踏み込んだ検証を行っており、イケメンの秘めた残虐性を垣間見た瞬間でもあった。

「おい、ちょっと時給あげとけや」
「上げるッス、スグ上げるッス」

こんなことも可能だったかもしれないが、勇気のない俺は結局後輩化した店長をスルーすることしか出来ず、ただ気持ち悪さを感じながら働いただけであった。

「洗い物はボクがやっとくからいいッスよ?」
「・・・・お、おうよ。」

「幼児退行」はよく聞く話だが、このような「後輩退行」は聞いたことがない。仮に精神的な何かだとして、退行するにしても青年時代にというこの中途半端な退き方はイラっとする。歳をとりすぎて退行が幼児にまで達しなかったのだろうか。詳しいことは素人なのでよくわからんけど、なんにせよ退くならもっときちんと退いてほしいものである。

今回のカラオケ屋の店長は一つの極端な例かもしれないが、こうしたオッサンの意表をついた後輩化は珍しいことではない。皆さんもどこかで経験したことはあるのではないだろうか。

終始厳しいムードで進んだ緊迫感溢れる会議。ご講評をとコメントを求められた会社の偉い人の、その締めが「じゃあ、それでいいッスヵね!?」など、肝心なところで後輩化して妙な雰囲気になる事例など、気づけば沢山あるはず。

そういう時はどうか騒がず、落ち着いて適切に先輩ぶってもらいたい。先輩だからって殴っちゃだめだよ!