ディズニークルーズでなぜかYMCAを踊らされた

今週は丸々一週間休みを取り家族でディズニークルーズへ行ってきた。フロリダ州のオーランドからバスに乗りディズニーが持ってるデカい船でバハマへ行くのである。

クルーズ船内はディズニーが溢れ、毎日イベント三昧、立ち寄った島では一日中ビーチで遊び夜は連日豪華なディナーである。お察しのとおり俺とディズニーの関係は浅く、そして極めて薄いものであったが、そんな俺でも最終日には売店ミッキーマウスのTシャツを購入しそれをまとって帰宅したほどであるが実際のところ持ってきたTシャツが1枚足りなかったからです。

この旅行を通じて、皆々様にいかに俺が楽しんだか、撮った写真などを交え高らかに自慢したい、声を大にして伝えたいディズニークルーズ最高情報は山ほどあるが一度には到底書ききれないので皆様には一番印象に残ったエピソードでもってその素晴らしさを感じて頂きたい。

先ほど書いたとおりディズニークルーズの醍醐味のひとつが船内でのイベント。オープニングパーティから始まり、そこら中を練り歩くディズニーキャラクターたちとの写真撮影、船内にはプールやスポーツ施設もあれば、船内をフルに使った探検ゲームの類まで、子供連れには嬉しい1秒たりとも飽きさせないイベントの数々には2人の子を持つ父親としては大満足、とうとう最終日には売店ミッキーマウスのTシャツを購入しそれをまとって帰宅したほどであるがそれは先ほど言ったように持ってきたTシャツが1枚足りなかったからです。

そんな船内イベントの中でも夕方から夜にかけて毎晩行われる劇場でのミュージカルは圧巻であった。王道のディズニー作品ミュージカルあり、ディズニーだから出来る過去の名作のコラボレーションありと、ディズニーに全く思い入れも何もないこの俺ですら「すげえ」と素直に思ったものであるし、ミッキーマウスのTシャツを買って帰ったのもあながち持ってきたTシャツが1枚足りなかったことだけが理由ではなく、俺はミッキーマウスが、ディズニーのことが好きになっちゃったのである。

それを決定付ける出来事が件のミュージカルの最中に起きたある出来事。それはミュージカルの中盤、ストーリーの途中で突然幕が下りアナウンスが始まったときから始まる素敵な物語であった。

《技術的なトラブルで一旦中断します しばらくお待ち下さい》

最初にアナウンスを聞いたとき、そういう演出なのかと思ってしばらく事態が飲み込めず見渡すと、やはり周りの外国人も同じような反応。そのうち、本格的にザワザワし始めたところで女性司会者が登壇し改めて「技術トラブルによる中断である」と我々に説明する。ようやく会場が「おいおいマジかよ」という反応を始めると、席を立つ人、立とうとする人、どうするか話し合っている人、色んな反応が会場で起こり始めまさに緊張の糸が切れかけようとしたその瞬間、俺のすぐ近くの50代ぐらいの白人男性が突然大声でこう叫んだ。

「We Believe!!!」

それはミュージカルに出てきたセリフを引用した「俺は待つぞ!」のメッセージである。それを聞いた会場は笑いと拍手に包まれ、混乱しかけた会場は一気にまた一体感を取り戻そうとしていた。

「ゆ、USAや...、これがUSAやでェ!!!」

目の前でザ・USAをまざまざと見せ付けられた俺の中でユユユSA...ユユユSAとISSAが踊りだす。

しかし、そんな小粋なUSAエピソードを間近で見た感動から10分が経過しようとしていたが肝心の技術的なトラブルとやらは一向に解消する気配もなく段々とまた会場から出て行く人が現れる。なんや、ほんだらもう一回ワシがWe Believeいうたろか~、Japanese JokeのTendonや!などとよからぬことを思案していた時であった。

先ほどの司会者が再び現れると申し訳ないがもう少しかかるという説明をしたその後に、その場にいた全員が耳を疑うようなことを言い放ったのである。

「こんなときだから、みんなでYMCAを歌いましょう!!ミュージック、スタート!!」

「えええええええええ!!!!!!」であったが疑問もクレームも入れさせねぇぞとばかりに間髪いれずにBGMスタートである。これには流石のアメリカ人も大困惑。普段なにかあっちゃあYMCAを踊っている彼らもここでなぜYMCAなんだ、WHYだぜ!とばかりに困惑の表情であったが、下の口は正直といいますか、音楽が流れれば体が勝手に動くらしくミュージックスタートに合わせてゾロゾロと起立し出せば後は勝手に「ヤングマン!」と歌いだす始末。

「ゆ、USAや...、これもUSAやでェ!!!」

天下のディズニーも困ったときはYMCAに頼るという事実に大変驚いたが、アメリカでYMCAを集団で踊れる機会など滅多にある訳もなく、俺もここは記念にと迷うことなく立ち上がり日本で学んだY.M.C.Aをカマしてきた次第であるが、俺が満面の笑顔で「ワーイ・エム・シー・エー!」とやっているその最中、先ほど「We Believe」とか調子のいいこといっていたオッサンがド真顔で帰っているのが見えた。