子供のクマムシ崇拝

クマムシという生き物は俺が今更いうまでもなく有名なとにかくすごい生き物である。平たく言うとなかなか死なない。ヒトが目で見ることのできないミクロン台のサイズ。熱にも強く寒さにも普通の人なら泣いちゃう真空でもへこたれず高い気圧にも放射線にも強い。ガッツがありストレス耐性もすごそうなので企業の評価も高そうだ。クマムシを部下にしてみたい。手がすげえ多いのでマルチタスクも出来そうかもね。

無敵の存在はいつの時代も男子の憧れであるが子供たちがクマムシという存在を本で知って以来、その限りなく無敵の存在に近いこの生き物のすごさに感銘を受けたのか半ば兄弟の間ではクマムシ崇拝にも近い状態となってしまった。

ねえねえと事あるごとにクマムシのすごさをクマムシクイズといった投げかけや、時にクマムシ豆知識といった独り言のような形で俺に伝えてくるようになってしまった。へえクマムシすげえな。クマムシかっこいいな。その耐久性、憧れちゃうねえ。話題はクマムシ、反応する術は多くはない。

目視出来ないクマムシに注がれる尊敬のまなざし。寄せられるクマムシ情報。そして俺もとうとうクマムシが完耐えられる気圧を覚えてしまった。75,000。社会人になって最初に住んだ中野坂上の家の家賃と同じなので覚えてしまった。思えばクマムシのように俺も色々耐えてきた。お前たちを育てる為にクマムシみたいに耐えて来たんだ。ちょっと話を聞きなさい。子供たちのクマムシ礼賛を聞きながら俺も子供に褒められたい気持ちが高まってきた。お父さんはな、メールの返信がとにかく早いぞ。しかも結論から言っちゃうぞ~。クマムシに果たしてそれが出来るかな~。