オッサンのスポーツシーン、その魅力

3か月ほど前に紹介してもらい、毎週金曜日に教会の中にある体育館で付近に住む日本人のバスケットサークルに混ぜてもらうことになった。アラフォーにしてまさかのバスケット界復帰であるが一部高校生が混じっているもののほぼ全員オッサンなので歳のハンデもなく何となく混じっても今のところ普通にやれている。

一応アメリカでもバスケやるかもしれないと持参してきていたバスケットシューズは復帰2回目であえなくぶっ壊れ、プレイすれば足がつり、ガチの息切れ、足首に残った古傷の痛みなどなど、正直毎回「今日が最後かもしれない」と大ケガや突然死などを切実に覚悟しながら教会に向かうわけなのだが、教会で死ぬならあの世へショートカットでええわいと思いつつ、幸い今のところ大きなケガもなく無事に毎週心も折れることなく通い続けている。

バスケットに限らずだがオッサンのスポーツシーン特有のものが幾つかあり、まず吐息が非常に臭い。臭いです。俺たちときたらもはやエキゾーストが大分世間一般より臭いのである。こんなやつらが環境のためにゼロ・エミッション!とか言っているのを見ると泣けてきます。疲れていると呼吸が大きくなり、出す側もまた吸う側もエアーの交換が活発になるのだが、まあ息が臭いね。臭いよ。疲れているときにフレッシュエアが来なかったらもうイラっとするのでできればお互い前半だけは息を止めてやりたいものです。

次に言えることは体にガタが来ているがゆえになんといいますかボディ面への装備が多いという事である。「これを履くと足の疲れがとれやすい」など、いい歳したオッサンがよく分からない女子のニーソックスみたいなセクシーな靴下をまとったり、あんたはロボットですかと言いたくなるようなメカメカしくもイカついサポーターをヒザやヒジ、腕全域などにつけたり、何かのおまじないのような謎のデザインのテーピングが首から肩に施されていたりと、とにかくオッサンのスポーツシーンでは色んな装備により人肌の露出がなくなり、顔だけオッサンの悲しいアンドロイド同士の戦い感がすごい。大体挙動もスローでロボットみたいですからね。あと、息が臭い!

最後にオッサンのスポーツシーンはとにかく汚いプレイが多いという事である。引っ張る、押す、とぼける。息が臭い。仕事と同じじゃないですか。理想と現実のギャップ、イマジネーションにボディが追い付かないことに折り合いをつけるため繰り出される老獪とは言いたくない小汚いプレイ。また、仕事で培ったと思われる「やってるフリ」の数々。

特にバスケットにはスクリーンプレイというのがありジジイはこれが大好き。スクリーンプレイとは、攻め側のボールを持たないプレイヤーがディフェンダーの背後にソッとバレないように立ち、ついたてのように立ちふさがり守備の邪魔をするプレイである。端的に言うとボールを持たずして味方の攻撃を「サポート」するチームプレイの一つである。動かなくていいし一応何かやってる感もあるということで、ジジイのバスケになればなるほどこのスクリーンプレイが激増。気づいたら全員「すん」というおすまし顔で一斉にスクリーンプレイをしていて誰も攻めていないという御社のプロジェクトと同じようなまさかの出来事も、まま起こります。

オッサンのスポーツシーンは往々にしてこのような感じでとても居心地がよく、俺も毎週金曜日体育館に行ってはユニークな吐息で得意のスクリーンプレイに興じて省エネで疲れないように何とか乗り切り、今日もケガせずにすんだ、死なずにすんだと安心の面持ちで家に帰るのである。

なんだか遠くからやめちまえよという声が聞こえる。