子供の年齢を聞かれているのに自分の年齢を答えてしまう

子供が生まれてすぐの頃、仕事の時に子供の話になることも多く同僚などに「そういえば、お子さんはどうですか?」と聞かれ答えて曰く、

「いやあ、めちゃくちゃかわいいんですけど最近夜泣きするようになって夜中起こされるし、まあ言っても僕は夜中だけなのですが妻は僕が仕事いってる日中も大して昼寝も出来ずに本当に寝不足で大変そうですねえ、、」

「そうですよねえ、最初はそうですねぇ。大変大変。ところで今いくつですか?」

「30です。」

「え?あ、いやお子さんが…」

「あっ…、今10か月です」

二人目の子供が生まれ、上の子が段々と難しくなってきたときもそうだった。

「いやあ、最近上の子が母親を取られたと思ってるのか、気を引くようにワガママっていうか言動が少し乱暴になってきましてね」

「あー、あるある、それは長男長女あるあるですよ、あ、今いくつでしたっけ?」

「はい、33歳です。」

「あ、いや上のお兄ちゃんが…」

「あーーーッ!今3歳です…」

自分の年齢を答える時だけ妙に真顔になり、相手の混乱と相まって一瞬時が止まる。このように子供の話をしている文脈でどう考えても子供の年齢を聞かれているのに自分の年齢を答えてしまうというケースがこれまでに何回もあり、それが十数回にも及んだであろうときに俺はなぜこんなに全てを自分のこととして考えてしまうのかという恥ずかしさが押し寄せ、それからというもの子供の話をしているときにこの手の質問には敏感になろうと強く反省。相手と子供の話をしているときに来た質問はたとえそこに主語がなくても100%子供に関する質問だと思え!そのようなタトゥーを心の中に刻んだものであった。

そしてそのような反省をした後、その最初の日がやってきた。

「いやあ、下の子が幼稚園に通いだしたんですけど、やたらと病気もらってくるようになりまして下の子がもらった病気が上の子、そして妻から僕へうつってというパターンがめちゃくちゃ増えてるんですよねぇ、困ったもんですわ」

「あー、もうそれは仕方ないですよ、うちもそうでしたから。ところで今いくつになったんでしたっけ?」

来た、と思ったその刹那、今までの失敗が頭をよぎり、今度は失敗せんぞと気負いが生じる。しかしそういえば従来の失敗の何が問題だったかという重要な点には瞬時の判断が出来ず、でも従来の回答だとダメだったという事実だけは嫌という分かっている、そのような状況下、ならばと一旦自分を落ち着かせるために質問で返して曰く、

「えー、それはー、僕でしょうか?」

「えっ!?あ、いや次男くんです…」

「あ、はい、4歳です…。」

「…。」

慎重に相手の質問の意図を確認し、用件を一致させる。ビジネスシーンは正しい選択であるが、質問に対しての敏感になり方があさっての方向へ向かい、そもそも「僕でしょうか?」が妙にビジネス感のある気取った返し方だっただけに、結果従来と全然変わっていないどころか、よけいバカなやつみたいになって俺は死にたくなった。