思い出

島にあるヘリポート

髪の量は多いはずであったがいつものように妻に散髪をされている最中、頭頂部が少し薄くなってないかと言われ鏡で見てみると確かにつむじの関係でここだけ地肌が見えているなどという説明では苦しい程度の薄毛の広場がもうじき形成されつつあるような気がし…

暗闇の中俺たちはただ手探りで

男子高校生においては男女交際のルールやノウハウといったものは殆ど教育、または継承、さらに共有などもされることがなく特に情報を得る手段が年長者の口承、説話以外では書籍、雑誌からしかでしかありえなかった俺の高校時代においては各自が数少ない情報…

不良のおばちゃん

新年早々書くことでもないが子供のころからみんなが妙に懐いている近所の不良のおばちゃんを囲む輪に俺だけ上手く入ることが出来なかった。「不良のおばちゃん」とは俺が子供の頃に感じたまま直球で名付けたもので何故か全員共通点して飲食店を自分一人でや…

サンタクロースが居ないと知らされた後のこと

サンタクロースの事を小学5年かそこらの、結構な年齢まで信じていたピュアな子供だったので確か最後は親の方が心配になってヒントをだしたかダイレクトにカミングアウトしたような、そんな感じで急に「いない」ことを知った気がする。4歳下の弟がまだサンタ…

ニュー新橋ビルの台湾式マッサージ

沢山の小さな飲食店がまるで飲み屋街のように軒を連ねる通称「おやじビル」こと新橋駅前の「ニュー新橋ビル」の3階にマッサージ店ばかりが集まるエリアがあるのをご存じだろうか。以前仕事の外回りで近くに来たのをきっかけとして新橋ビルを探検し、たまたま…

無職になった日の朝

25歳の春、2年務めた築地市場の青果部門で働くのをやめ無職になった。 「彼女からも毎日朝早いし土日も休みがないので辞めてほしいと言われまして」 いざ理由を述べる際、上司に向かい、辞める理由として極めて賢くない話をしてしまったことで案の定俺は付き…

思えば学生時代の就職活動はひどいもので

結局その年は留年してしまったので結果的には意味がなかったし、むしろ下手に就職していたら面倒なことになってしたかもしれないのだが、大学4年時の就職活動は今思い返すと大変ひどいものであった。 そもそも就職活動のことを微塵も理解していないばかりか…

お盆、伝説の離島ギグ

母方の祖父母は市内の端の方にある港から船で10分ほどの島に住んでいた。玄界灘に浮かぶ人口500人程度の小さな島。盆正月に帰省すれば必ず船に乗り祖父母に会いに行ったものだがアメリカに来てからそれも随分ご無沙汰になってしまった。 祖父は健在、祖母は…

ティラミスを知ってから実物を見るまで数年掛かった

いつのことか覚えていないが日本でティラミスがものすごいブームになったときがあった。少し前のタピオカに近いような流行り方だったのかもしれない。 昔はネットもなく口コミはほとんどなく、テレビか雑誌が火付け役だったのだと思う。当時まだ子供だったし…

建物の配管をきれいにする胡散臭い白い箱

築地市場青果部門を2年で辞めて次に就職した商社が営業未経験の俺を採用したのは試験的に出店した出張所の新規開拓メンバーというチャレンジングな役割になんとなく築地で働いていたヤツなら勢いがあって新規開拓できそうという理由だったことを後に聞くこと…

面白い話はふざければ誰でも書けるといわれ

小学生のときの確か国語の時間だったと思う。なんかのきっかけで「面白い話と悲しい話では面白い話を考えるほうが難しい」と言ったらクラスの大半からそれは違うと反論された。 「面白い話はふざければ誰でも書けるから」というクラス内で口の達者な女子生徒…

ゲームがしたくてたまらなかった

子供のころ親にゲーム類の一切を禁じられていたため、ゲームを持っている友達の家に行っては友達に頼み込んで少しだけゲームをやらせてもらう卑しいタカリ行為をしてゲームをさせてもらっていた。とにかくゲームがしたくてたまらなかった。 俺は元祖ファミコ…

父親との旅行の思い出

兄と久しぶりに連絡し、子供のころ行った旅行の話をし色々と昔の事を思い出した。別に貧乏なわけではなかったはずだが、こと旅行に関してはあまり派手な旅行というものをした記憶はなく一泊二日で同じ九州内の温泉地に車で行って帰ってくるというようなもの…

だからホワイトデーにはオルゴールしかない

俺の地元では、俺の中学だけかもしれないが、ホワイトデーには基本的には「オルゴール」を贈るのが無難な選択肢だと言われていた。オルゴールはあって邪魔にならないし、いい音もするし、何ならオシャレである。第一、オルゴールが嫌いな女子なんてこの世に…

バレンタイン・キッス

学生のころ、あれは真夏の暑い日だったのは間違いないが、毎週必ず足を運んでいた近所の定食屋に入ると店内のテレビが放送していたのは怪談であった。背筋が凍るということから真夏といえば怪談。誰が言い出したのか夏になるといまだにテレビでは怖い話が放…

コウタレンジャー・ショー

愛知県幸田町にコウタレンジャーという戦隊がおり、コウタレンジャーショーが幸田町の町民会館で中心に開催される地元のお祭りの中で子供向けイベントの一つとして用意されると近所のスーパーに張り出された告知で知ったものだから、当時戦隊ものにハマって…

福岡の乾電池

俺の故郷は佐賀県唐津市。中学、高校生の頃、本気で買い物するとしたら隣県福岡の天神に行くしかなかった。幸い唐津は福岡・天神からは比較的近い場所にあり、ちょっと頑張れば行ける九州最大の大都会でもあった。 今でこそ便利な高速道路ができ、高速バスで…

俺はただ親切心で

まだ日本にいた頃、本社のある都内のオフィス街を外れたところで一人、いつもの店で昼飯を食べていた。それはオフィス街では割と当たり前になりつつあった居酒屋などがランチタイムは店の前で弁当を売っているパターンで、唯一その店が珍しいのは買った弁当…

何者かに自転車を鬼ハンにされた中尾くん

「うわああ、俺のチャリが...」 中学生のとき、中尾くんという比較的まじめな友達は他校での部活の試合を終えて駐輪場に戻ってみると何者かにより自転車が思いっきり鬼ハンにされていた。いわゆるママチャリタイプのハンドルはゴリゴリの鬼ハンになり、立派…

ジャニーズカウントダウンライブはマジですごい

ある年の大晦日23時、様々な年末番組のザッピングの果てにたどり着いていたのは「ジャニーズカウントダウンライブ」だった。 各局が年末のスペシャル感というものを履き違え、無駄な馬鹿騒ぎに興じる中、この番組は、このジャニーズカウントダウンライブだけ…

クラクションは無表情で鳴らせ

20代の前半。2年ほど狭い築地市場内をターレットやフォークリフトに乗って荷物の回収などをしていた。 行きかうフォークリフトの大半はガス式で、セリも終わったころに清掃が入ってくれば更に長年蓄積したホコリが舞い上がる。すべての荷物が引き上げられる…

盲腸になるのがとにかく怖かった

中学時代がピークだったと思うが、虫垂炎、いわゆる「盲腸」になることを異様に恐れていた時期があった。 いつ痛くなるか分からない不安、そして痛くなるや即手術という恐怖もその理由ではあったが、最大の理由は女性看護師に、大人の女性に自分のチンコを見…

千葉の農家で過ごした1週間

大学を出て築地の青果部門にある会社に入って間もない頃、千葉の東側、九十九里浜沿いにある旭市というところへ一人で派遣された。名目上は農業研修だが要は農家の作業を手伝う労働者である。市場と関係のあるJAに対し、こうして新人を派遣することで関係を…

スナックのママ

そもそも自分の親のことをママなどと呼ぶ家庭ではなかったものだからスナックの「ママ」という表現には強い抵抗感があり、あまつさえ大の大人が「ママ」などと発しているのを見るのはかなり辛いものがあるというもんであるが、しかし社会人になるとスナック…

都内

「しかし××くん、都内はアレだねぇ↑」 あれは20代半ば、前職でのことである。午前中の、まださほど忙しくない時間に、今日も上ずった声の支店長が部下とのコミュニケーションのつもりかフラリと話し掛けてきた。 とはいえこの支店長、人と話をするのが苦手な…

スラムダンクの連載が始まったとき、男子はみんな流川楓になった

スラムダンクという漫画、説明するまでもなかろうが、あの連載が始まったのが多分俺が小学5年か6年生の頃で当時NBAは既に人気で観るスポーツとしては日本でも人気があったものの競技としてはまだまだ日本ではマイナースポーツだった時代にあの漫画は少なから…

仕事中に寝たいという気持ち

研修期間中、物作りから覚えるためにと工場のラインで3ヶ月近く働いていたときの話である。 先日、いつも通り死んだ目で立って材料の裏側をゴシゴシ磨く作業をしていたところ、現れた班長に「そろそろ顕微鏡を使ってみるか?」的な問いかけをされたときは、…

高円寺の居酒屋「山おやじ」

今はもう無くなってしまったのだが、学生のころ住んでいた高円寺に「山おやじ」という居酒屋があった。 最初に入ったきっかけや通うようになった経緯など全く記憶にないのだが、気づいたら月に1回は何となく一人でフラっと入るような店になっていた。 山おや…

何者かにゆっくりと追いかけられる夢

今でも時々足元のぬかるんだ歩きにくい場所で、後方から迫る何者かにゆっくりと追いかけられる夢を見る。心身のいずれかが不調のときみる定番の夢である。なぜこの同じ夢を毎回見るのか、それにはどうも原体験となる子供の頃のエピソードがあるようなのであ…

マサルセックス

中学の頃、近所の電柱に緑色のスプレーで「マサルセックス」と殴り書きされていた。 最初はよく読めなかった。雑な字であったし、スプレーとはいえ風雨にさらされたのかところどころ線は消えかけている。それでもセックスだけはハッキリと読み取ることができ…