アメリカのハエの動きは一味違う

アメリカのハエは日本のハエと明らかに動きが違う。種類が違うのかもしれないが調べるのも億劫なのでまだ調べていない。とにかく動きが違うのである。

まず、ハエにありがちな手で払っても同じところに繰り返し何度もせわしなく戻ってくるあの反復飛行がない。次に、飛行速度が圧倒的に遅くのんびりしている。また、手をスリスリするあの動きもしない。我々がハエをハエ足らしめるハエの特徴だと思っていたこれらの動きが皆無である。

つまりアメリカのハエは不規則に飛び、そして動きがノロい。サーセンサーセンと手をスリスリすることもなく、気ままに、自由に生きている。自由の国を体現している。

こんな具合なのではっきりいって日本のハエより叩いて殺しやすいのだが、日本のハエと違ったウザさがないので何となく殺すまでもなく窓から逃がしてあげている。

最近気づいたが、子供のころアメリカの映画か子供向け番組かで見たハエの動きがまさにこんな感じだった。タイトルは忘れたが、主人公がハエになってしまい、家族に追われ叩かれようとして逃げる場面である。そのときのハエの動きがこんな感じで、動きは遅く、フラフラ飛んでいた。それはただ映画的な演出に過ぎなかったのかもしれないが、俺の知っているハエと動きが違っていたのでよく覚えている。

アメリカに来て、子供のころに見ていたアメリカのものの答えあわせをする場面に時々出くわす。「ポンキッキ」が時々アメリカの映像を流していたり、世界丸見えテレビ特捜部で見たアメリカのバラエティ番組、世界仰天ニュースで何となく見ていた再現VTR、ミュージックビデオに出てくるアメリカなど、もちろん昔観た映画でもいい。アメリカの生活情報は、アメリカそのものというべきかもしれないが、世界中に広まっていて、我々の中には知らないアメリカの日常がぼんやり刷り込まれていて、行ったこともないのに色んな年代の懐かしいアメリカの風景がいつの間にか我々の中に存在しているのではないだろうか。

ハエの動きでそれを思い出すヤツはほとんどいないだろうけど。