子供の頃アダルトの意味をスケベだと勘違いしていた

バイオレンスのイメージに引っ張られて一緒に使われるドメスティックという単語自体に何かネガティブなイメージがついているような、そういう単語は割と多い。同じケースで、これは完全にアダルトビデオという言葉の影響なのだが、子供の頃、当初アダルトという言葉を極めて安直に「スケベ」という意味なのかと思っていた。子供にありがちな基礎知識の前に応用がドカンと入って来て認識がおかしくなった不幸なケースである。

アダルトビデオはスケベビデオなのだからその発想はごく自然であるし、そもそもそういうスケベなエブリシングは俺たちヤングの憧れであって、自分の親、学校の先生、市役所の人など、世の大人各位がよもや、平素あのような大人然とした態度でおりながら夜はというとスケベなビデオを見たがる特異な習性があるなどとは思いもしなかったからである。つまりこの誤解の別の要因として、エッチなビデオと大人というイコール関係がそもそも出来ていなかったこともあると思われる。

思い出すのはあの当時家族でよく観ていた「クイズ!年の差なんて」というクイズ番組。「ヤングチーム」と「アダルトチーム」が世代間の常識を問題として出し合い競い合う80年後半から90年前半まで続いた当時の人気クイズ番組だった。ヤングチームに中山秀征、坂上忍島崎和歌子国分太一などが出ていたことからいつの時代の出来事か皆さんには大体分かると思うが、問題は「アダルトチーム」である。

「アダルトチーム?!けしからんッ…」

ヤングが若いという事は当時チャイルドの俺でも知っていたのだが、その相手がアダルト、スケベチームというわけである。子供の俺だって感じますわい、まあ何てはしたないチームだと。しかしながら、加とちゃんケンちゃん、とんねるずウッチャンナンチャンといったバラエティ番組を「下品!」と一刀両断し、バラエティと言えば当時NHKがやっていた「連想ゲーム」なる娯楽性で言うともちつきと同レベルぐらいの番組しか見せてくれなかったうちの父親がクイズ歳の差なんてはOKというのである。

従い、数少ない家族で見てよいバラエティ番組の一つとして黙ってこれを観ていたのだが、子供からするとアダルトチームに所属させられてしまったかわいそうなベテラン俳優の面々、藤村俊二高島忠夫朝丘雪路岡田真澄などについては、どうしても全員をそういう目で見てしまい、アダルトチームの高島忠夫が持ちネタのようにたびたび繰り出す「イエーイ」というムーブは何か子供の知らないスケベのメタファーなのではとか、藤村俊二の事をオヒョイさんと呼ぶことなどにも、も、もしや女性器のことか?!などいちいち過剰に勘ぐってした次第。

アダルトをスケベの意味だと勘違いしていた人、皆さんの中にもいてほしい。