ケンタッキー・フライドチキン1号店への旅

ケンタッキー・フライドチキンがケンタッキー州の創業した当時の場所にまだ1号店を構えている、そんな当たり前なようで驚きの話を聞いたので行ってみる事にした。住んでいるデトロイトから車で6時間半。微妙な距離であるが、今しか行けるチャンスがない、行くしかない。

 

ケンタッキーといえば思い出す。

大学生の時分、貧を極めし頃、同じクラスで実家暮らしの斎藤君がバイト先で貰ったケンタッキー・フライドチキンを恵んでくれたこと。大学生協の電子レンジで斎藤君のチキンを温めてたらいつからか「生協で買ったものだけしか温めないでください」の張り紙が張られてしまったこと。ケンタッキーと言えば今でも冷えたチキンを食べ続けた冬のことを思い出す。冷えていても食い物が美味い、それが貧乏という極上のスパイス。

 

ケンタッキーついてチキン以外で知っているのは学生の頃に観た「ケンタッキー・フライドチキン・ムービー」というB級映画のみである。ストーリーは殆ど覚えていないが、ヘマをした敵のモブキャラたちがボスから処刑されるシーンだけははっきり覚えている。

他の者ども同様に首を切られるかと思われた最後の一人が「お前はデトロイト行きだ!」と宣告されるや「デトロイトだけは嫌だ!」と騒ぎながら連行される場面。7年前、俺がデトロイトへ駐在するよう言われたときに真っ先に思い出した悲しいワンシーンである。

事実俺の会社のモブキャラ達もデトロイトだけは嫌だと誰もがみな敬遠しおかげで俺は7年ここにいる。

 

というわけで、私のケンタッキーにまつわるハートフルなストーリーを幾つかご紹介する間に現場に着きました。

こちらがケンタッキー・フライドチキン1号店。世界に広がるKFC生誕の地。あの世界企業も静かで本当に何の変哲もないアメリカのド田舎の一角から生まれたのである。

最初に創業したガソリンスタンドは倒産、二度目のチャレンジでカフェを併設したら大当たりしたのが現在のケンタッキー・フライドチキン。というわけでガソリンスタンドの形跡も。

 

「ハーランド・サンダース?」

貴様誰やと警戒。知ってるおじさんと名前が違って目もなんか鋭い。ビジネス!という顔をしている。

ミュージアムの中で知ることになるが、カーネル・サンダースの「カーネル」は本名ではないのだそうだ。しからば、いわゆるHNみたいなものであろうかと思ったが、ケンタッキー州で使われている名誉称号のようなものらしい。つまり我々が言う「カーネルおじさん」という人物はケンタッキー州には何人かいるという事である。

 

1号店は今でも店舗として営業しており、そのメニューも1号店だからといって特別というわけでもなく1号店だからといって店員のサービスや愛想が良かったりするわけでもない。基本は雑談の合間にしぶしぶ接客のアメリカンスタイルである。

 

入口のところにはささやかながらグッズの販売コーナーがあり、店舗の奥にはミュージアム兼食事スペースも。

 

食事スペースは広くとられていてなかなか清潔でいい感じ。

 

男子トイレは胸元に、

 

女子トイレでは髪飾りとして、カーネルおじさんのトレードマークのあのヒモみてえなやつがつけられている小粋な演出も。

 

敷地の半分以上は食事スペースも併設されたミュージアムのコーナー。

 

昔のケンタッキー・フライドチキンのキッチンを再現したエリア。ここから全てが始まったのだとニワトリは目をそむけたくなる場所かもしれないね。

 

当時のキッチンでチキンを揚げているカーネルおじさんの貴重な実写映像も放送中。

よそ行きの一張羅かと思われたおじさんのあのホワイト服が実は作業着として常用されており、あの格好で割と自らガンガンチキンを揚げまくっていたことをムービーで知る。

(社長あるあるのカメラが来たから突然現場入って張り切っただけかもしれませんが…)

 

世界中で愛されるケンタッキー・フライドチキン。日本のKFCが斎藤君をバイトに雇ってくれたおかげで学生の時は余りチキンに沢山ありつけることができました。

 

普段から見慣れているカーネルおじさんのロゴの数々。こうして見ると年代と共に顔が変わっているというか、少しずつ簡素化されている感じが。

 

学生の時はお世話になりましたの気持ちを込めて。感謝のオジポーズ。

チキンを広めしチキンの伝道師も、かつては州内に建立されたカーネルおじさん銅像に対し動物愛護団体の活動家がニワトリ虐殺の象徴だと痛烈な批判運動を展開したというニュースもあった模様。

(未熟な俺は焼き鳥屋ハツで食べる時だけしかニワトリの命の事を考えることが出来ない。。)

 

記念に頂く1号店の味。日本で最後に食べたのは恐らく10年以上前だが、味は日本と大体一緒ですね。(すいません、味音痴なので正直分かりません!)

 

チキンをオーダーする列に並んで同じレジで最後にお土産を購入。ポストカードと、マグネット。

 

お土産用の袋は特に用意していないらしくポテトなどを入れる袋に入れてくれた。いい加減だな。だが、そこがいい…。

これがケンタッキー・フライドチキン1号店。1号店はあんなところなんだと、日本でKFCに行くときには思い出してあげて欲しい。