出来立てほやほやが苦手な人もいるんじゃないかな

鮮度というものが幅を利かせているのが気に食わない。鮮度が良いことを皆崇めすぎである。鮮度がよい、出来立てを皆が欲しており、有難がっていると思ったら大間違いである。

人々が揚げ物のことを褒めるときに出てくる「外はサックリ、中はモッチモチ」という揚げ立てを賛美する代表的な表現だが、あれを本当に全員が欲しているとは到底思えない。俺が揚げ物に求めるのは衣(ころも)と具の一体感、いわゆる「衣具一体」の状態である。そしてそれを成しえるのは作ってから一晩経った揚げ物に他ならず、あのしっとりした状態から更にレンジでチンして温めた状態こそが俺の一番好きな揚げ物の状態。

同じようなことは炊きたてのご飯にもいえる。炊きたてのご飯が一番おいしいとされる風潮。本当にそうだろうか。皆さんどう思っているのだろうか。俺には熱くて味がわからない。猫舌とかそういう話をしたいのではなく熱さが邪魔して味がわからんと、湯気が邪魔して米が見えんとそういう話をしてんのである。

炊きたてご飯問題は特にカレーで顕著である。アツアツのご飯にアツのルーを、カレー・ルーをば、なんてやってご覧なさいよ。ライスとカレーがお互いを高めあっちゃってさ、足の速いやつ同士が一緒に走ったらタイムがいつもより良くなるみたいによ、もはや熱と熱の競演で熱過ぎてもう何食ってんのかわからんし、あと湯気で邪魔して米が見えんと、そういう話をしてんのである。これは別に俺の趣味だから強制はしないけど、カレーについていえば冷や飯を軽く温めた状態(甘あたため状態)に熱いカレーをかけるのが最も良いと思います。長崎皿うどんと考え方は同じです。

ついでにいうと、じゃあ鮮度の良いイカの刺身もそんなに美味しいですかと。イカの刺身は冷蔵庫に入れて二日目の朝が最も美味しくないですか~?と。つまりイカは誕生日ケーキなんですよ。何をいいたいかというと、ご承知のとおりケーキなんて余ったやつを冷蔵庫に入れて二日目の朝に食べるのが一番美味いでしょうが。出来立てのケーキって何か味がきちんとまとまってなくて、何というか新学期のクラスみたいなよそよそしさがあるんですよ。だから、イカは誕生日ケーキ。ふーん、イカが誕生日ケーキかぁ。そしてケーキが新学期のクラス...?俺は何を言っているんだ。ちょっと今日疲れているので俺の話は無視してください...。