人と話を合わせないと

こうみえて意外と対人関係では気をつかうタイプなので、特に一対一のときなどには人と話をうまく合わせなければ、沈黙にならぬよう話を繋げなければという思いが強く、結果相手の話の中から、その言葉尻などを拾って話を広げた結果いつの間にか自分の話をしている、という事が結構ありその都度反省をしている。

自慢げにいうつもりはないが、昔ちょっと本で見たことや人にチラっと聞いたことをやたら記憶していることが多く、その内容に関して話が出たときに、それに対して過去の情報をフル活用していかにもそれっぽく、浅い知識をうまいことバレないようにしてボールを返すことが出来ているつもりであるが、書いたとおりそれが気付けば独りよがりな自分の話になっているケースもありそれでいいのか悩ましいところでもある。

例えば先日打ち合わせで会った取引先のおじさんにその可愛い写真と共に自分の飼っているコリーの自慢話をされたときなど完全にそのコリー及びコリーのエピソード、さらに言えばそのオッサンに関しても一切興味がなかったのだが、だからこそそれがバレぬようにと多弁に、より饒舌になり出てきた話が

「昔スーパーJチャンネルという夕方の報道番組で、徳島県の山間の村で野生化した犬の集団が付近を荒らしまわっているというニュースがありましてね」

「ほうほう」

「その野犬集団のリーダーがコリーでめちゃくちゃウケたんですよねェ...」

「ほう...?!」

しもた!やってしもた!という表情がフルに顔面に出たまま会話は終了した。俺がコリーについて知っていた情報はスーパーJチャンネルの野犬化したコリーが雑種犬を引き連れているあのめちゃくちゃシュールな映像だけ。事実上コリーについてゼロ知識なのに、何か言わないとという想いがTもPもOもわきまえないコリー面白話を、しかも絶対にその話が琴線に触れるはずのない愛犬家にしてしまったのである。

しかしである、これを「飼い犬」という話題でもって話そうとしていたば、出てくるはずだったもう一つの話が

「昔飼っていた犬がバカである日庭にした自分のウンコに一晩中吼え続けててめちゃくちゃウケたんですよねェ....」

というコリーなどを愛でる徳の高い愛犬家にすべきでないペットC級話だったので野犬化コリーのほうが共通項があってマシだったのかもしれない。要は偉そうにワイはどんな話題にも返せまっせ~みたいにカマしといてその実俺の返しがこの程度ということである。