アメリカ人、思ったよりめちゃくちゃ働く

7月から自分の部署の駐在員が一人になり忙しくなってしまった。コロナにも関わらず5月からずっと出社や出張を続けているのは知りうる限り駐在員でも俺ぐらいで狭い日本人コミュニティの皆様からあそこのご主人はコロナ3回ぐらいかかってるのではとドン引きされる中、日本とのやり取りが多い俺の仕事はここ最近の日本の連休や一時帰休で更に難易度が高くなってきた。

今週ミーティングでアメリカ人に日本側が長い連休に入るので頼まれていた仕事が更に遅れていることを告げると3流企業ゆえに社員の育ちの悪い我が社の会議室には普通の会社では出てこないFワードが炸裂し、「ファーック?(7月の連休は終わったのでは)」という反応には丁寧に「ファック…。(今度は8月の連休です…)」と答えながらゴールデンウィークにも同じやり取りをしたことを思い出していた。俺も休みたい。

俺の感じる限り、アメリカ人はおそらく日本人より沢山、最低でも同じ程度に働いている。よく働くというのも抽象的な評価だが仕事に対する姿勢に加えて、物理的にまず年間休日が100日程度と日本より遥かに少ないから。土日以外の休日が稀で、たまにやってくる土日以外の休日に合わせてバケーションを取る人も多いが、それもせいぜい1週間でそれ以外はずっと働いている。バケーションは個々人がとる休みで、全体が一斉に休む日が少ないので会社が止まっている期間ははるかに短く、だからアメリカにいると日本がはるかに休みの多い労働者の天国というよりも、それはほかに国皆さんとの競争に大丈夫かという方に感じる時がある。

日本人とは労働の質が違うから労働日数こそ少ないが日本人の方が働いていると言う人もいるかもしれないがアメリカで働いているとそうは思えず、アメリカ人はいわゆるジョブ・ディスクリプションに忠実なだけで、自分の仕事の範疇というもの、対価に見合うかどうかを見極めて余計な事をしないだけではないかと思う。日本人の駐在員がよく部下のアメリカ人の作ったレポート、資料の雑さを揶揄するのを見るが、社内に出すレポート程度に日本人のような体裁の整った芸術的な資料が必要と思っていないだけかもしれない。

時々必要以上に分業化された融通の利かなさに辟易するが自分の仕事はきちんとするし責任は明確でわかりやすい。与えられた仕事だけは小まめに熱心に、レベルはともかくプロフェッショナルという強い意識で責任をもってそれぞれきちんとやっているのであるから。ちなみにアメリカ人の肩書によく〇〇Professionalというのが多い。能力がそれに見合うかどうかは別としてとりあえず役職がない場合とりあえず全員が〇〇Professionalを名乗っている会社も多い。その実それらの俺よりはるかに給料のお高いProfessionalの皆さんに何の肩書もない普通の文系のオッサンの俺が色々と教える場面がめちゃくちゃ多いのだがそれは俺をProfessional扱いにしてくれない日本の方がおかしいとしか言いようがない。

そして、先ほどのミーティングである。

「ちなみに9月にもまた長い連休が…」

8月のお盆で頭を抱えるアメリカ人に日本には9月に更にもう一発大型連休があることを伝えるのはなかなか言い出しにくいことではあったが、3流企業ゆえにダイエットコーラを飲みながら元気よくゲップをしながら話を聞いていた我が社の社員たちもこれにはおいおい9月もですかと更にFワード、ヘイヘイ日本さん待ってくださいよという雰囲気の中、別の誰かの「なお、イタリアの拠点はもうすぐ1か月の休みに入るらしい」という話が横から入ってきて会議室には「もしかして俺たちが働きすぎなのか」とも感じられるため息、なぜ世界のみなさんはそんなに休むんですかという雰囲気に包まれていた。